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「ウエスト・サイド・ストーリー」 [日記]

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映画のパンフレットより


 朝日の写真を撮りに行こうかと思い、日の出の時刻や方角潮位などを調べて準備をしていましたが雨の予報でした。そこで、突然思い立ってスティーブン・スピルバーグ監督の映画「ウエスト・サイド・ストーリー」を見てきました。再映画化の作品にはがっかりすることがあって食わず嫌いが多かったのですが、スピルバーグという名前の魅力で見に行きました。
 物語は前作とほぼ同じでした。舞台はニューヨークのウエスト・サイド。そのウエスト・サイドで対立するのがヨーロッパ系移民のジェッツ(ジェット団)とプエリトリコ移民のシャークス(シャーク団)。そこに、ジェッツの元リーダーのトニーと現シャークスのリーダーであるベルナルドの妹マリアとの禁断の愛が絡み、現代版ロミオとジュリエットとして物語は展開して行きます。
 実は前作を劇場で見たのは半世紀も前のリバイバル上映の時でした。それまで耳にしたことがなかった音楽と調和のとれた激しい踊りに感激したのをはっきりと覚えています。今回の再映画化では、音楽はもちろんのこと踊りがより洗練されていて新たな感動を覚えました。映画を見たことがある人にはわかると思います。ジョージ・チャキリスのように足は高く上がりませんでしたが、一生懸命に“指パッチン”の練習をしたのを思い出しました。

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リバイバル上映時のポスター


 前作ではリチャード・ベイマーが演ずる“トニー”はすっかり更生していて、暴力性の欠片(かけら)も見せないので、物語の最後に起こる事件への展開が不自然に思えていました。今回のスピルバーグ作品では、アンセル・エルゴート演ずるトニーには暴力での前科があるという設定で、途中彼の中に秘められている暴力性もちらりと見せてくれていたので、違和感なく見ることができました。
 食わず嫌いはいけませんね。「ウエスト・サイド・ストーリー」は私の中のお気に入りに追加され、サウンド・トラックのCDも購入してしまいました。時間がゆるせばもう一度見に行きたい作品です。

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CDのジャケット写真


「ウエスト・サイド」再び指の音や春 粋田化石

字余りでした。「ウエスト・サイド・ストーリー」を見てもう一度指の音を聞くことができました今は春、という句です。

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お染風邪(おそめかぜ) [エッセー]

 『お染久松』をご存じでしょうか。これは江戸前期に心中事件を起こしたとされる男女の名前です。
 大阪東横堀瓦橋の搾り油屋の一人娘“お染”と店の丁稚である“久松”は恋仲でありました。しかし、お染は山家屋への嫁入りが決まっており、久松との間の五か月になる子供を宿していたのだそうです。所詮は身分違いのかなわぬ恋。お染は剃刀で、久松は首をくくって心中を遂げました。
 この話題を世間が放っておくわけがなく、お染と久松の心中事件を題材にした浄瑠璃や歌舞伎狂言になり、たいそう人気の演目だったそうです。そこで『お染久松』といえば浄瑠璃・歌舞伎の演目の通称でもあります。
 現在では風邪とインフルエンザは違うものとして区別され我々もそのことを認識しています。しかし、江戸時代には普通感冒(風邪)と流行性感冒(インフルエンザ)の区別はつかなかったようです。そのような時代に流行したインフルエンザと思われる風邪を人々は、人気の歌舞伎演目に因んで『お染風邪』と呼んでいました。そうして、『久松るす』と書いた紙を家の入口に貼り付けたのです。「あなたの愛する久松は留守です、お染(風邪)はどうか会いに来ないでください」という御まじないですね。 

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 医療技術も薬も現在の足元にも及ばない時代の人々のことですから、藁にも縋(すが)る思いで『久松るす』を貼り付けたのかもしれません。しかし、私には江戸の人特有の洒落っ気が含まれているような気がしてなりません。
 COVID-19・新型コロナウイルス・オミクロン株。これらの名前はお染風邪に比べると味も素っ気もない名前ですね。そこで、新型コロナウイルスも日本特有の名前で呼んでみるのはどうでしょうか。歌舞伎の人気演目から命名するなら『仮名手本忠臣蔵 五段目』の『お軽勘平』を取って『COVID-19 お軽』。心中ものから拝借するなら、『曽根崎心中』の『お初徳兵衛』から『新型コロナウイルスお初』というのはいかがでしょうか。

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風邪に寝て雀のうわさ話聞く 粋田化石


風邪をひいて日中寝ていると、囀(さえず)りとは違う雀たちのささやくような声が聞こえてきて、暫しそれに聞き入っていた、という句です



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