ペンは剣より強し [川柳]
世の中大変なことになっています。こんな時でも笑いを忘れてはいけませんね。
そこで、今日は落語でよく聞く川柳を紹介します。日本人は人前ではあまり冗談を言いませんが、川柳を見るかぎりでは、日本人の笑いの感覚は世界に誇れるものだと思います。また、川柳はお上に直接物言えなかった庶民に与えられた憂さ晴らしの手段でもありました。
江戸っ子の生まれ損ない金を貯め
江戸っ子は宵越しの金を持たないんだとか
藪入りやなんにもいわず泣き笑い
奉公に出ていた子供が藪入りの日に何年振りかで帰って来ました
女郎買い振られたやつが起こし番
江戸は男性に比べて女性が少なかったそうで、女郎屋で金を払っても部屋に女郎が来てくれないことがあったとか
朝になり、振られた男が一緒に行った仲間を起こして回ります
女郎買い振られて帰る果報者
女郎には振られた方が幸せなのかも
葬(とむら)いが山谷(さんや)と聞いて親父行き
山谷は寺町ですが、すぐ近くには吉原があります
朝帰りだんだんうちが近くなり
女郎屋の帰りです
手に取るなやはり野に置け蓮華草(れんげそう)
蓮華草は女郎のこと
蓮華草は野に咲いているから美しいのであって、摘んで帰って家で眺めても味気有りません
町内で知らぬは亭主ばかりなり
間男(まおとこ)のことです
その当座昼も箪笥(たんす)の鐶(かん)が鳴り
地震ではありません
また一度十七、八で這いならい
夜這い(よばい)のことです
十七、八になって、また這い這いの練習です
幇間(たいこもち)あげての末の幇間
幇間をあげるような遊びの果てに財産を使い果たし、自分が幇間になってしまいました
講釈師見てきたような嘘をつき
実はこれ、俳句を詠むのには大切なことなのです
最後に、私の詠んだ川柳です。
そこで、今日は落語でよく聞く川柳を紹介します。日本人は人前ではあまり冗談を言いませんが、川柳を見るかぎりでは、日本人の笑いの感覚は世界に誇れるものだと思います。また、川柳はお上に直接物言えなかった庶民に与えられた憂さ晴らしの手段でもありました。
江戸っ子の生まれ損ない金を貯め
江戸っ子は宵越しの金を持たないんだとか
藪入りやなんにもいわず泣き笑い
奉公に出ていた子供が藪入りの日に何年振りかで帰って来ました
女郎買い振られたやつが起こし番
江戸は男性に比べて女性が少なかったそうで、女郎屋で金を払っても部屋に女郎が来てくれないことがあったとか
朝になり、振られた男が一緒に行った仲間を起こして回ります
女郎買い振られて帰る果報者
女郎には振られた方が幸せなのかも
葬(とむら)いが山谷(さんや)と聞いて親父行き
山谷は寺町ですが、すぐ近くには吉原があります
朝帰りだんだんうちが近くなり
女郎屋の帰りです
手に取るなやはり野に置け蓮華草(れんげそう)
蓮華草は女郎のこと
蓮華草は野に咲いているから美しいのであって、摘んで帰って家で眺めても味気有りません
町内で知らぬは亭主ばかりなり
間男(まおとこ)のことです
その当座昼も箪笥(たんす)の鐶(かん)が鳴り
地震ではありません
また一度十七、八で這いならい
夜這い(よばい)のことです
十七、八になって、また這い這いの練習です
幇間(たいこもち)あげての末の幇間
幇間をあげるような遊びの果てに財産を使い果たし、自分が幇間になってしまいました
講釈師見てきたような嘘をつき
実はこれ、俳句を詠むのには大切なことなのです
最後に、私の詠んだ川柳です。
コロナより妻が怖いと総理かな 粋田化石
総理でも始末が義務の妻の糞 粋田化石
禁止です総理昭恵の放し飼い 粋田化石
総理にも出来ぬじゃじゃ馬ならしかな 粋田化石
画像はフリー素材です
麗か [俳句]
今日は旧暦の三月三日。
桃の花も咲いて、穏やかで春らしい一日でした。
そんな日の出来事です。黒猫が捕まえた雀を私に見せに来ました。私が「偉いねー、早く食べちゃいな。」と言った途端です。猫が「みゃー」と鳴いたので、その隙に猫の口から逃げた雀は飛んで行ってしまいました。残念でした。猫はしばらくの間雀が飛んで行った方を見ていました。
うららか(麗か)が春の季語です。麗かな日、「みゃー」と鳴く間に捕まえていた雀が逃げた、という句です。俳句は十七音しか使えないので、猫という言葉は使わずに詠んでみました。
【 麗か うららか 】 うらら 麗日 (季春)
なごやかな春日に万象 玲瓏(れいろう)と晴れ輝くさまである。↓秋麗(秋)(角川合本俳句歳時記第四版)
うらゝかや女つれだつ嵯峨御室 正岡子規
うららかや空より青き流れあり 阿部みどり女
麗かや野に死に真似の遊びして 中村苑子
うららかや岩場高きに忘れ潮 鷹羽狩行
鯉のくち後ずさりゆくうららかに 小宅容義
うららかやかんばせ風にふちどられ 行方克巳
仏唇に朱の残りをりうららなり 林翔
石三つ寄せてうららや野の竈 福永耕二
病む人へ麗日待ちて文を書く 古賀まり子
少し細めですが夕方に見えた三日の三日月です
桃の花も咲いて、穏やかで春らしい一日でした。
そんな日の出来事です。黒猫が捕まえた雀を私に見せに来ました。私が「偉いねー、早く食べちゃいな。」と言った途端です。猫が「みゃー」と鳴いたので、その隙に猫の口から逃げた雀は飛んで行ってしまいました。残念でした。猫はしばらくの間雀が飛んで行った方を見ていました。
うららかや捕らえし雀「みゃー」の間に 粋田化石
うららか(麗か)が春の季語です。麗かな日、「みゃー」と鳴く間に捕まえていた雀が逃げた、という句です。俳句は十七音しか使えないので、猫という言葉は使わずに詠んでみました。
【 麗か うららか 】 うらら 麗日 (季春)
なごやかな春日に万象 玲瓏(れいろう)と晴れ輝くさまである。↓秋麗(秋)(角川合本俳句歳時記第四版)
うらゝかや女つれだつ嵯峨御室 正岡子規
うららかや空より青き流れあり 阿部みどり女
麗かや野に死に真似の遊びして 中村苑子
うららかや岩場高きに忘れ潮 鷹羽狩行
鯉のくち後ずさりゆくうららかに 小宅容義
うららかやかんばせ風にふちどられ 行方克巳
仏唇に朱の残りをりうららなり 林翔
石三つ寄せてうららや野の竈 福永耕二
病む人へ麗日待ちて文を書く 古賀まり子
彼岸 [俳句]
墓参りに行きました。
お供えはご先祖様と鴉が食べやすいように、ちゃんと包装を解いて供えてきました。また、コンビニエンス・ストアのものですが、母が好きだったケーキのモンブランも依怙贔屓して供えてきました。これにはプラスチックの匙を添えました。
彼岸が春の季語です。
お彼岸にプラスチックの匙(さじ)をつけてモンブランを供える。という句です。
【 彼岸 ひがん 】 お彼岸 入彼岸 彼岸過 (季春)
春分の日を中日とする前後三日の七日間。単に彼岸といえば春の彼岸をさす。寺では彼岸会を修し、先祖の墓参りをする。「暑さ寒さも彼岸まで」というように、このころから春暖の気が定まる。↓春分 ・ 彼岸会 ・ 秋彼岸(秋)(角川合本俳句歳時記第四版)
山寺の 扉(と)に雲あそぶ彼岸かな 飯田蛇笏
竹の芽も茜さしたる彼岸かな 芥川龍之介
東京の寺に詣づる彼岸かな 永井龍男
人界のともしび赤き彼岸かな 相馬遷子
義仲寺の水のにごれる彼岸かな 深見けん二
お彼岸のきれいな顔の雀かな 勝又一透
毎年よ彼岸の入に寒いのは 正岡子規
彼岸入蓮華びらきに煮炊きの火 小檜山繁子
兄妹の相睦みけり彼岸過 石田波郷
お供えはご先祖様と鴉が食べやすいように、ちゃんと包装を解いて供えてきました。また、コンビニエンス・ストアのものですが、母が好きだったケーキのモンブランも依怙贔屓して供えてきました。これにはプラスチックの匙を添えました。
モンブラン供うる彼岸プラの匙 粋田化石
彼岸が春の季語です。
お彼岸にプラスチックの匙(さじ)をつけてモンブランを供える。という句です。
【 彼岸 ひがん 】 お彼岸 入彼岸 彼岸過 (季春)
春分の日を中日とする前後三日の七日間。単に彼岸といえば春の彼岸をさす。寺では彼岸会を修し、先祖の墓参りをする。「暑さ寒さも彼岸まで」というように、このころから春暖の気が定まる。↓春分 ・ 彼岸会 ・ 秋彼岸(秋)(角川合本俳句歳時記第四版)
山寺の 扉(と)に雲あそぶ彼岸かな 飯田蛇笏
竹の芽も茜さしたる彼岸かな 芥川龍之介
東京の寺に詣づる彼岸かな 永井龍男
人界のともしび赤き彼岸かな 相馬遷子
義仲寺の水のにごれる彼岸かな 深見けん二
お彼岸のきれいな顔の雀かな 勝又一透
毎年よ彼岸の入に寒いのは 正岡子規
彼岸入蓮華びらきに煮炊きの火 小檜山繁子
兄妹の相睦みけり彼岸過 石田波郷
チーバくん [川柳]
チーバくんを御存知でしょうか。平成22年の国体の時に初お目見えし、その後千葉県のマスコット・キャラクターになりました。
時節柄でしょうか、千葉県の館山自動車道のサービスエリアに置いてある『チーバくん』がマスクをしていました。先日、そのマスクの写真を県外の友人に送ったところ、「そもそも、チーバくんとはなんですか。」と聞かれてしまいました。そこで下にある画像を友人に送り、チーバくんとその存在意義を訴えておきました。
さて、千葉県には銚子の犬吠埼(いぬぼうさき)、館山の洲崎(すのさき)、富津の富津岬(ふっつみさき)と大きな岬がいくつかありますが、チーバくんには富津岬が再現されていません。小さな出っ張りの浦安がチーバくんの舌として再現されているのにかかわらずです。
チーバくんの生みの親である坂崎千春さんにその訳を聞くことができればよいのですが、なかなかそうもいきません。そこで自分なりに“チーバくんに富津岬がない理由”を考えてみました。
私が思いついた理由は一つ、“エッチだから”です。そう、富津岬は丁度チーバくんの股間付近に存在します。
チーバくん春の岬を置き忘れ 粋田化石
今回は解説なしです
【 春の海 はるのうみ 】 春の浜 春の渚 春の磯 春の岬 (季春)
冬の間、波の荒かった海も、春になると穏やかな波が寄せ返す。(角川合本俳句歳時記第四版
春の海ひねもすのたりかな 蕪村
春の海まつすぐ行けば見える筈 大牧広
春の浜大いなる輪が 画か いてある 高浜虚子
逆立ちの手を突く春の渚かな 井上弘美
波すこしあそび覚えて春岬 関戸靖子
けん玉 [俳句]
息子(といっても大人ですが)が『けん玉』の話しをするので、私のけん玉論を少しだけ講釈してやりました。その話しを息子はどんな風に聞いていたのでしょうか。
実は話しをしただけなので、その息子のけん玉の実力はわかりません。
ただ、私も昔取った杵柄。まだまだ『けん玉』は子供には負けないと思い・・・たいな~。
春休子にけん玉の講釈す 粋田化石
春休が季語です。
時期は春休み、子供にけん玉の自慢話を聞かせてやった。という句です。
【春休 はるやすみ 】 (季春)
学年末から四月の始業式まで、学校は休みになる。宿題がないせいか、夏休などと異なり独特の解放感がある。(角川合本俳句歳時記第四版)
春休ひそかにつくる日記かな 久保田万太郎
ケーキ焼く子が厨占め春休 稲畑汀子
春休み子等の大地の賑はひに 川畑火川
二階より雪の山見て春やすみ 星野麥丘人
風光る [俳句]
本日の題名『風光る』ですが、これを聞いて松山千春のアルバムを思い浮かべる方はかなりの通だと思われます。
さて、『風光る』は春の季語です。素敵な言葉ですよね。実態のない季語ですが、こういう言葉を使う日本人はやっぱりすごいと思います。
耳朶(じだ)は耳たぶのことです。風が光っている、振り向いた牛の耳たぶに穴が開いている。という句です。もちろん、その穴を通り抜ける風も光っています。
現在日本で飼養されている牛には個体情報を管理するための番号の付いた耳標が装着されています。それが外れてしまうと穴が残るというわけです。
【 風光る かぜひかる 】(季春)
春になって日差しが強くなると、吹く風もまばゆく感じられる。↓春風(角川合本俳句歳時記第四版)
風光りすなはちもののみな光る 鷹羽狩行
風光る海峡のわが若き鳶 佐藤鬼房
杉の秀(ほ)に並び立つ塔風光る 火村卓造
笛を吹く頰の産毛や風光る 角谷昌子
さて、『風光る』は春の季語です。素敵な言葉ですよね。実態のない季語ですが、こういう言葉を使う日本人はやっぱりすごいと思います。
風光る振り向く牛の耳朶(じだ)の穴 粋田化石
耳朶(じだ)は耳たぶのことです。風が光っている、振り向いた牛の耳たぶに穴が開いている。という句です。もちろん、その穴を通り抜ける風も光っています。
現在日本で飼養されている牛には個体情報を管理するための番号の付いた耳標が装着されています。それが外れてしまうと穴が残るというわけです。
【 風光る かぜひかる 】(季春)
春になって日差しが強くなると、吹く風もまばゆく感じられる。↓春風(角川合本俳句歳時記第四版)
風光りすなはちもののみな光る 鷹羽狩行
風光る海峡のわが若き鳶 佐藤鬼房
杉の秀(ほ)に並び立つ塔風光る 火村卓造
笛を吹く頰の産毛や風光る 角谷昌子
初音(はつね) [俳句]
桃の節句の今日、この春初めて鶯の囀(さえず)りを聞きました。
そう、私には初音です。まだまだ下手くそな鳴き方で「ホホホケキョキョ」と聞こえました。それでも初音が嬉しくて聞き入ってしまいました。
「ホホホケキョキョ」を聞いたのが外での作業中でしたので、手を休め軍手を脱いで耳を澄ませました。
昨年詠んだ句です。鳥の囀りを聞くたびに「鶯の初音では?」と期待して、やっと本当の初音を聞いた時の様子を詠みました。
【 鶯 うぐひす 】 黄鳥(うぐひす) 匂鳥(にほひどり) 春告鳥(はるつげどり) 初音(はつね) 鶯の谷渡り (季春)
スズメ目ヒタキ科の漂鳥。春告鳥の名があるように春を告げる鳥として馴染みがある。早春に平地で囀り始め、気温の上昇にともない冷涼な地帯に移動する。そのため高山地帯や北海道・東北北部では夏鳥とされる。「ケキョケキョ」と続けて鳴くのを鶯の谷渡りと呼び珍重する。また「法、法華経」という聞き做(な)しから「経読み鳥」ともいわれている。↓老鶯(夏) ・ 冬の鶯(冬)(角川合本俳句歳時記第四版)
鶯や餅に糞する椽(えん)の先 芭蕉
鶯の身を逆(さかさま)に初音かな 其角
うぐひすの鳴くやちひさき口明けて 蕪村
鶯や前山いよよ雨の中 水原秋櫻子
鶯に蔵をつめたくしておかむ 飯島晴子
鶯のやゝはつきりと雨の中 深見けん二
うぐひすのこゑが障子にたまるかな 八田木枯
うぐひすのケキョに力をつかふなり 辻桃子
朝比奈の谷戸の径なる初音かな 石塚友二
そう、私には初音です。まだまだ下手くそな鳴き方で「ホホホケキョキョ」と聞こえました。それでも初音が嬉しくて聞き入ってしまいました。
軍手脱ぎ耳そばだてて初音かな 粋田化石
「ホホホケキョキョ」を聞いたのが外での作業中でしたので、手を休め軍手を脱いで耳を澄ませました。
今度こそ紛(まが)う方なき初音かな 粋田化石
昨年詠んだ句です。鳥の囀りを聞くたびに「鶯の初音では?」と期待して、やっと本当の初音を聞いた時の様子を詠みました。
【 鶯 うぐひす 】 黄鳥(うぐひす) 匂鳥(にほひどり) 春告鳥(はるつげどり) 初音(はつね) 鶯の谷渡り (季春)
スズメ目ヒタキ科の漂鳥。春告鳥の名があるように春を告げる鳥として馴染みがある。早春に平地で囀り始め、気温の上昇にともない冷涼な地帯に移動する。そのため高山地帯や北海道・東北北部では夏鳥とされる。「ケキョケキョ」と続けて鳴くのを鶯の谷渡りと呼び珍重する。また「法、法華経」という聞き做(な)しから「経読み鳥」ともいわれている。↓老鶯(夏) ・ 冬の鶯(冬)(角川合本俳句歳時記第四版)
鶯や餅に糞する椽(えん)の先 芭蕉
鶯の身を逆(さかさま)に初音かな 其角
うぐひすの鳴くやちひさき口明けて 蕪村
鶯や前山いよよ雨の中 水原秋櫻子
鶯に蔵をつめたくしておかむ 飯島晴子
鶯のやゝはつきりと雨の中 深見けん二
うぐひすのこゑが障子にたまるかな 八田木枯
うぐひすのケキョに力をつかふなり 辻桃子
朝比奈の谷戸の径なる初音かな 石塚友二
画像はフリー素材です