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枝豆 [俳句]


黒豆の枝豆を頂きました。

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ビールには枝豆というように、枝豆には夏の心象が強いですが、黒豆でなくても枝豆は秋の季語です。
現在では一年中枝豆を食べることができますね。しかし、枝豆の本当の旬は立春を過ぎた頃、つまり旧暦のお盆の頃だそうです。枝豆の旬は旧暦では秋なのですね。

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枝豆や足元で犬待ちあぐむ 粋田化石


私が枝豆を食べている足元に犬が居て、なかなか零(こぼ)れ落ちてこない枝豆を待ち倦(あぐ)んでいるという句です。


秋 植物
【 枝豆 えだまめ 】(季秋)
熟す前の青い大豆。枝ごととることから枝豆という。さやのまま塩茹でにして食べる。(角川合本俳句歳時記第四版)

枝豆に藍色の猪口好みけり 長谷川かな女
枝豆やふれてつめたき青絵皿 猿橋統流子

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秋の味覚 零余子(むかご) [俳句]

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秋の味覚の一つに零余子(むかご)があります。自然薯などの玉芽のことを零余子と言います。
さて、枇杷の木に花芽があったので眺めていると、絡まる蔓に零余子が生っていました。せっかくですので、摘んで持ち帰り蒸かして食べました。残念ながら零余子飯にするほどの量はありませんでした。
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明くる日の洗濯機から零余子かな 粋田化石


摘んだ零余子をポケットにしまい忘れて、そのまま服を洗濯してしまったという句です。


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つま先にコツリ零余子の硬き音 粋田化石


零余子は少し触れると直ぐに落ちてしまいます。零余子が地面に落ちる音は零余子を摘む時の楽しみの一つです。この句は、指先からこぼれた零余子が落ちた時に私の靴のつま先に当たったという句です。

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【 零余子 むかご 】 ぬかご  (季秋)
自然薯・薯蕷などの葉腋に生じる暗緑ないし暗褐色の玉芽。種類によって形や大きさが異なる。熟したものを食すが、風味が豊かで野趣に富む。塩茹でにしたり炊込飯にしたりする。(角川合本俳句歳時記第四版)

ほろほろとむかご落ちけり秋の雨 一茶
零余子一つ摘まんとすればほろと落つ 小沢碧童
音にして夜風のこぼす零余子かな 飯田蛇笏
触れてこぼれひとりこぼれて零余子かな 高野素十
零余子落つ夜風の荒き伊賀の奥 北村保
蔓にある零余子の見えて夜道かな 岸本尚毅

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野分 のわき [俳句]

台風が来ています。本州からは離れて行く様ですが、島で暮らしている方にはまだまだ心配ですね。どうかお気をつけください。
さて、台風は秋の季語です。台風と同じように秋の暴風を表す言葉に『野分 のわき』があります。

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野分去り普段の電信柱かな 粋田化石


夏井いつき先生が選者をされている俳都松山『俳句ポスト365』に投稿した句です。
野分が去った後、電信柱が普段の姿で立っているという句です。千葉県は昨年の台風で大きな被害を被ったので、それを思い出して詠みました。字余りはお許しください。


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良い方のバケツ持ち去る野分かな 粋田化石


やはり『俳句ポスト365』に投稿した句です。
庭に置いてあった二個のバケツのうち、良い方のバケツを野分に飛ばされてしまったという句です。

【 野分 のわき 】 野わけ 野分だつ  野分後(のわきあと) 夕野分 野分雲 野分晴  (季秋)
秋の暴風のことで、野の草を吹き分けるほどの風の意。特に二百十日・二百二十日前後には猛烈な暴風が襲ってくることが多い。野分のあとは、草がなぎ倒されたり庭にものが飛び散ったりと荒々しい景を呈するが、古来それもまた風情あるものとして受けとめてきた。夜のうちに野分が去ったときなど、ことさら朝の晴ればれとした気分を感じさせる。(角川合本俳句歳時記第四版)

芭蕉野分して盥に雨を聞く夜かな 芭蕉
鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分かな 蕪村
大いなるものが過ぎ行く野分かな 高浜虚子
白墨の手を洗ひをる野分かな 中村草田男
野分中つかみて墓を洗ひをり 石田波郷
独り刈る髪切りこぼす野分中 石川桂郎
漆黒の天に星散る野分あと 相馬遷子
家中の水鮮しき野分あと 正木ゆう子 
頰杖の指のつめたき夕野分 高柳重信
夕野分祈るかたちの木を残す 小池文子

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仲秋の名月 [俳句]

今日は旧暦の八月十五日、夜は仲秋の名月です。
旧暦の十五日は十五夜ですので満月かと思いきや、今夜は月齢13.7なので明日の方が真ん丸の月になります。写真で見ても左側が少し欠けていますね。
暦を見ていると十五夜と満月が重ならない日は多いようです。なぜ十五夜が満月でないのか私にはよくわかりません。もしかしたら、月の周期が正確に三十日ではないからかも知れません。
とにかく、明日の夜が晴れならばもう一度名月を見ることができます。

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給油所の窓拭きの手と今日の月 粋田化石


名月のことを今日の月とも言います。ガソリンスタンドで窓を拭いてもらっている間、窓越しに腕と月を眺めているという句です。


上り始めた月をスマホで撮影しました。スマホでもこのくらいには写ります。
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月の斜め下に見えた赤い星です。火星かも知れません。
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【 名月 めいげつ 】  明月(めいげつ)  望月(もちづき) 満月 今日の月  月今宵(つきこよひ) 三五の月 十五夜 芋名月 (季秋)
旧暦八月十五日の月である。一年中でこの月が最も澄んで美しいとされる。秋草や虫の音、夜露や秋風など、風物のたたずまいが一層月を明澄にする。 穂芒(ほすすき)を挿し、月見団子や新芋などその年の初物を供えて月をまつるのは、収穫を祈る農耕儀礼の遺風である。↓良夜  (角川合本俳句歳時記第四版)
しみじみと立ちて見にけりけふの月 鬼貫
名月や池をめぐりて夜もすがら 芭蕉
名月や畳の上に松の影 其角
名月をとつてくれろと泣く子かな 一茶
名月や笛になるべき竹伐らん 正岡子規
名月や故郷遠き影法師 夏目漱石
名月や門の欅も武蔵ぶり 石田波郷
名月や洗ひ伏せたる日々のもの 村松紅花
満月や耳ふたつある菓子袋 辻田克巳
満月の闇分ちあふ椎と樫 永方裕子

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