SSブログ

大晦日 [俳句]

2021年大晦日
千葉県東部地方は朝方に雪が降っていました。もちろん積もるということはなく、穏やかな大晦日になりました。
本年最後の『だくだく日記』は最近詠んだ俳句で締めようと思います。


img191.jpg


寅さんの後にと誓ふ春支度 粋田化石


DSC_0030.JPG


ぬるま湯へ万年筆の大晦日 粋田化石


DSC_0033.JPG


年のくれ積読(つんどく)の背の褪(さ)め行きぬ 粋田化石


DSC_5259.JPG


霜柱ぬるき音する牛の尿(しと) 粋田化石


皆さま一年間有難うございました 良いお年をお迎えください
来年もよろしくお願いいたします
粋田化石

【年用意 としようい】  春支度(はるじたく)  (季冬)
新年を迎えるためにいろいろ支度を整えること。家の中の煤掃(すすはき)・畳替、外回りの繕い、正月用の買い物、松飾や注連飾(しめかざり)の手配、年木取(としぎとり)、春着縫いなどがそれに当たる。(角川合本俳句歳時記第四版)
小半日山の出入や年用意 方水
年用意靄あたたかき日なりけり 久保田万太郎
木がくれにうぶすなともる年用意 伊東月草
年用意てのひらつかふこと多し 小原啄葉
山国にがらんと住みて年用意 廣瀬直人
夢殿へ白砂敷き足す年用意 山田孝子 
子らの間に坐つて居りて春支度 長谷川かな女

【大晦日 おほみそか】  大三十日(おほみそか)   大年(おほとし)   大年(おほどし)  大つごもり  (季冬)
十二月の末日。旧暦・新暦いずれにも用いられる。晦日もつごもり(月隠 つきごもりの変化したもの)も月の末日の意で、一年の終わりであるため、大の字を添えて大晦日・大つごもりという。(角川合本俳句歳時記第四版)
大晦日定なき世の定かな 西鶴
父祖の地に闇のしづまる大晦日 飯田蛇笏
漱石が来て虚子が来て大三十日 正岡子規
大年の夕陽当れる東山 五十嵐播水
大年の法然院に笹子ゐる 森澄雄
大歳の暮れてゆく山仰ぎけり 茨木和生
大年の夢殿に火のにほひかな 井上弘美
またたきておほつごもりの燈なりけり 七田谷まりうす

【年の暮 としのくれ】  歳暮(さいぼ)   歳暮(せいぼ)   歳晩(さいばん)   歳末(さいまつ)  年末 年の瀬 年の果  年(とし)暮(く)る 年詰まる  (季冬)
一年の終わり。街は歳末売出しで賑わい、家庭では新年を迎える用意に忙しい。すべてが慌ただしく、活気を帯びてくる。(角川合本俳句歳時記第四版)
年暮ぬ笠きて草鞋(わらぢ)はきながら 芭蕉
旧里(ふるさと)や臍(へそ)の緒に泣く年の 芭蕉
去ね去ねと人にいはれつ年の暮 路通
ともかくもあなた任せのとしの暮 一茶
いさゝかの金欲しがりぬ年の暮 村上鬼城
藁苞を出て鯉およぐ年の暮 宇佐美魚目
はらわたの紆余曲折を年の暮 中原道夫
山が山押して夜の来る年の暮 和田耕三郎
思はざる道に出でけり年の暮 田中裕明
歳晩やひしめく星を街の上 福永耕二
歳晩や淀の川波岸より暮る 貞弘衛
歳晩の水を見てゐる橋の上 加藤耕子 
年の瀬や浮いて重たき亀の顔 秋元不死男
山の背に雲みな白し年の果 原裕
町工場かたことと年暮るるかな 星野石雀
喪の花輪すぐにたたまれ年つまる 菖蒲あや

【霜柱 しもばしら】  (季冬)
地中の水分が寒さのため凍って、細い柱状の固まりになり地表の土を押し上げるもの。関東ローム層のような湿気を含む柔らかな土質に生じる。日蔭の気温が低いところでは、日中も溶けず何日も重なって成長し、数十センチにも及ぶものもある。(角川合本俳句歳時記第四版)
霜柱倒れつつあり幽かなり 松本たかし
霜柱伸び霜柱押し倒す 右城暮石
霜柱俳句は切字響きけり 石田波郷
霜柱はがねのこゑをはなちけり 石原八束
戦没の友のみ若し霜柱 三橋敏雄
石ひとつすとんと沈め霜柱 石田勝彦
かつて見しごとき白昼霜柱 田中裕明
あたらしき墓のまはりの霜柱 藺草慶子


nice!(4)  コメント(0) 

母へ [日記]

 千葉県東部地方は北風が吹いて寒い一日でした。今日12月28日は仕事納め、官公庁の方には御用納めですね。
 実は今日は母の忌日なのですが親不孝者の私はついつい忘れそうになります。12月28日に亡くなったので、仕事納めという言葉でなんとか思い出すという有様です。
 母の亡くなった時の年齢を過ぎた私ですが、今頃になって母が昔言っていたことは正しかったんだと思うことが沢山あります。また、ふとした瞬間に母の言葉を思い出すことがあります。当然その当時は口うるさいとしか思いませんでしたが。私のことを全うに育てようとしていたのですね(結果は疑問ですが)。
 それでも今日車を運転していてちょっとイラっとした後に、今日くらいは母を見習はなければと反省をすることができました。
 母さん、そちらで待っていてくださいませ。私はもう少しこちらの生活を楽しみたいと思います。

北風吹いて母の背を追う忌日かな 粋田化石


img018.jpg


【 北風 きたかぜ 】  北風(きた)  北吹く  (季冬)
北または北西から吹く、冷たい冬の季節風。大陸の冷たい高気圧から、日本の東海上の低気圧に向けて吹いてくる。(角川合本俳句歳時記第四版)
北風にたちむかふ身をほそめけり 木下夕爾
北風にあらがふことを敢てせじ 富安風生
北風やイエスの言葉つきまとふ 野見山朱鳥
北風の身を切るといふ言葉かな 中村苑子
北風に吹かれて星の散らばりぬ 今井杏太郎
北風強く夕焼を地の果に押す 田川飛旅子
北風吹くや鳴子こけしの首が鳴る 菖蒲あや

nice!(5)  コメント(2) 

モスラの極彩色 [日記]

モスラCD (2).jpg


 「午前十時の映画祭11」にて1961年公開の怪獣映画『モスラ 4Kデジタル・リマスター版』を見てきました。制作:田中友幸、監督:本多猪四郎、制作費:2億円
 「午前十時の映画祭11」は“特に素晴らしい傑作娯楽映画を選び、全国の映画館で1年間にわたって連続上映する「午前十時の映画祭」”の第十一弾です。

モスラCD (1).jpg


 実は『モスラ』には本編が始まる前に音楽が流れる所謂(いわゆる)“序曲”が存在していて(市販されているDVDでは序曲は削除されています)、今回公開された4Kデジタル・リマスター版『モスラ』には1分ほど(CDの解説文によると1分4秒)の序曲がありました。そのことからも、この映画に込めた製作者の熱意と映画の格調の高さが分かります。
 音楽を担当したのは古関裕而。氏が作曲した曲で、劇中“小美人”と呼ばれる双子の妖精(ザ・ピーナッツの伊藤エミ・伊藤ユミ)が歌う「モスラの歌」は有名ですね。映画『モスラ』から感じる主題は「核実験廃止」・「世界平和」の二つでした。そういった意味からも、劇中に流れる古関裕而の心の琴線に触れる曲は非常に効果的であったと感じました。

モスラCD (3).jpg


 原作は中村真一郎、福永武彦、堀田善衛の純文学畑の小説家三人を起用。フランキー堺の演ずる新聞記者「福田善一郎」はこの三人の名前の合成だそうです。
 撮影に使用されたモスラの幼虫の造形には人間が8~9人入って芝居をする巨大な物もあったそうで、1954年公開の『ゴジラ』でゴジラを演じていた中島春雄氏がモスラの前足を演じていたそうです。ちなみに、俳優としての中島春雄氏は『モスラ』では日本に上陸したモスラから逃げまどう住民を演じておられました。
 その巨大なモスラに破壊される街のミニチュアセットもまた従来のものよりは大きく作られていたために、現実感のある迫力の映像でありました。TOHO SCOPPのワイド画面もまた迫力の映像に一役買っていました。
 今回改めて思いましたが私はミニチュアセットの特撮が好きです。

モスラCD (4).jpg


 「有難う皆さん私たちは世界の人たちが平和に暮らせる日の来るのを祈ります。」これは小美人の妖精二人が最後に言う台詞です。

行く年のモスラ再び極彩色 粋田化石


暮れて行く年にモスラを再びその美しき極彩色よ、という句です


【行く年 ゆくとし 】  年(とし)逝(ゆ)く 年歩む 年流る 年送る  (季冬)
暮れてゆく年、また、年末をいう。一年を振り返るしみじみとした思いが感じられる。(角川合本俳句歳時記第四版)
行く年やわれにもひとり女弟子 富田木歩
ゆく年の硯を洗ふ厨かな 三好達治
行年の浅草にあり川を見て 田川飛旅子
船のやうに年逝く人をこぼしつつ 矢島渚男
年を以て巨人としたり歩み去る高浜虚子

nice!(3)  コメント(0) 

撮影会 [日記]

 写真撮影が趣味の知人に誘われて、満月とライトアップされた東京ゲイトブリッジの撮影に行ってきました。撮影場所は東京都江東区の若洲海浜公園です。
撮影と言っても薄暮の時間帯の月は撮影したことがなく、何の前ぶれもなくいきなり昇り始めた月にあたふたしてしまいました。撮影条件が決まってくるころには満月は東京ディズニーランドに隣接するホテルの上の方へ。

20211219_fullmoon_and_nightview (21).JPG
月が昇り始めたのに、まだ撮影条件が決まりません


20211219_fullmoon_and_nightview (25).JPG
カメラを慌てて縦向きにしたら景色が斜めでした


20211219_fullmoon_and_nightview (59).JPG
月はすっかり昇ってしまいました、ホテルの灯りが見えています



月冴ゆる向こうは夢のねずみ国 粋田化石


 「月冴ゆ」は寒い空気の中で月の光がくっきりと感じられるという冬の季語です。
 寒さの中にくっきりと月が浮かんでいます、海を挟んで向こう側に見えるのは夢とねずみの国ディズニーランド。という句です。


20211219_fullmoon_and_nightview (10).JPG
日没直前の東京ゲイトブリッジ


 東京ゲイトブリッジは満月を撮影する前にライトアップ前の橋を撮影しました。満月の撮影を終えた後は、マジック・アワーからだんだんと闇に包まれてゆく橋を落ち着いて撮影することができました。

20211219_fullmoon_and_nightview (18).JPG
日没直後です


20211219_fullmoon_and_nightview (96).JPG
いよいよマジックアワーです


20211219_fullmoon_and_nightview (119).JPG
ライトアップが始まりました、富士山の輪郭も見えています


20211219_fullmoon_and_nightview (137).JPG


20211219_fullmoon_and_nightview (154).JPG
魔法は解けて暗闇に包まれて行きます、金星も見えています



冬夕焼三十分の魔法解け 粋田化石


 「マジックアワー」という言葉があります。日没から数十分間は太陽光が日中よりも赤く淡い状態になり、西の空全体が金色に包まれます。その間は私のような素人が写真撮影をしても魔法がかかったように美しく写ってくれます。
 冬の夕焼けです、マジックアワーで金色に輝いていた空も三十分間の魔法が解けてしまいました。という句です。



【冴ゆ さゆ】 月冴ゆ 星冴ゆ 鐘冴ゆ  (季冬)
冷え切った空気のなかで感じる寒さ。「月冴ゆ」「星冴ゆ」「鐘冴ゆ」のように光や音がくっきりと感じられるさまにもいう。↓冴返る(春) (角川合本俳句歳時記第四版)
山辺より灯(ひとも) しそめて冴ゆるかな 前田普羅
冴ゆる夜のこゝろの底にふるゝもの 久保田万太郎
冴ゆる夜のレモンをひとつふところに 木下夕爾
冴ゆる夜の抽斗に鳴る銀の鈴 小松崎爽青
冴ゆる夜の噴煙月に追ひすがる 米谷静二
星冴ゆる歩いて居れば心足り 石昌子

【冬の夕焼 ふゆのゆふやけ 】  冬夕焼(ふゆゆやけ) 寒夕焼(かんゆやけ)  冬茜(ゆあかね)  寒茜  (季冬)
単に夕焼といえば夏の季語であるが、冬の夕焼にもまた、鮮やかな美しさがある。裸木を染め、西空を燃え立たせて、たちまち薄れてしまう。↓夕焼(夏) (角川合本俳句歳時記第四版)
浦上や冬夕焼にわが染まり 大竹孤悠
冬夕焼見つめることを獣らも 正木ゆう子
明星の銀ひとつぶや寒夕焼 相馬遷子
路地染めて何をもたらす寒夕焼 菖蒲あや
手元まで闇の来てゐる冬茜 廣瀬町子

nice!(4)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。