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二月は逃げる [俳句]

「一月は行く、二月は逃げる」などと言いますが、あっという間に二月が終わってしまいます。俳句には『二月尽 にぐわつじん』という季語があって、丁度今頃の時候を表現しています。
今日は「二月尽」の俳句です。

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二月尽婀娜(あだ)な流木横たはる 粋田化石


流木というと冬の心象がありますが、「婀娜」つまり艶めかしく色っぽい形の流木だと少し暖かく感じませんか?


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二月尽三分長きカップ麺 粋田化石


最早冬ではないけれど春というには早いこの時期。あっという間に二月が終わり三月が来ます。そんな時期とセッカチに流れる時間の中で、相変わらずにカップ麺の三分が待てない私です。


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舌垂らし斜に犬行く二月尽 粋田化石


二月も終わりになると暖かい日もあり、そんな日は犬も舌を垂らしています。飼い主の行く方向と飼い犬の視線が一致していないないのでしょう。犬は斜(はす)に歩いています。



【 二月尽 にぐわつじん 】 二月果つ 二月尽く (季春)
新暦二月の終わり。短い月が慌ただしく過ぎゆく感慨と同時に、寒さがゆるみ、春本番に向かうほっとした気分もただよう。(角川合本俳句歳時記第四版)
木々の瘤空にきらめく二月尽 原裕
真直なる幹に雨沁む二月尽 福永耕二
二三日葬りに使ひ二月尽 伊藤敬子
光りつつ鳥影よぎる二月尽 小沢明美

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冬から春へ [俳句]

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今日は立春
ブログの更新を休んでいる間に季節は春に変わってしまいました。
俳句はぼつぼつ作ってはいたのですが、なかなか記事にできませんでした。

今日の俳句はは冬の季語『柊挿す』と春の季語『立春』で詠みました。

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柊を挿(さ)して軋む戸両の手で 粋田化石


『柊挿(さ)す』が冬の季語です。節分に、焼いた鰯の頭と柊の枝を挿す風習のことですね。
柊を挿した後軋む重い扉を両手で閉めたという句です。

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柊挿す残りは酒のあてにせぬ 粋田化石


鰯は頭しか使わないので、残った体の部分は酒の肴にしました。

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柊挿す貧乏神を置いたまま 粋田化石


柊を挿すというのは、結界を張って邪気が入り込まないようにすることです。家に貧乏神を置いたまま結界を張ってしまったので、貧乏神が出られなくなってしまった、という句です。

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子午線に柊挿して祈りたし 粋田化石


子午線、つまり北極と南極を結んだ線の上に柊を挿して地球の邪気を払いたいという句です。



立春が洗車に映ゆるボンネット 粋田化石


朝、ガソリンを入れるついでに洗車機で車を洗いました。そうしたら、ピカピカのボンネットに立春の青空が映ってとても素敵な光景でした。

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早起きに立春の月徳とせぬ 粋田化石


早起きして空を見上げたら沈み行く月が見えました。
「徳とする」というのは、有り難いものと考えることです。今日は何か得をしたような気分です。



【 柊挿す ひひらぎさす 】 (季冬)
節分に、焼いた鰯の頭を刺した柊の枝を戸口に挿す風習は全国的に行われている。鬼や邪気が家に紛れ込むのを防ぐ 呪まじな い。これを「 焼嗅やきかが し」といって、鰯の他に葱・ 辣韮らつきよう ・ 大蒜にんにく などの臭いものを挿したり、髪の毛を焼いたりする地方もある。(角川合本俳句歳時記第四版)
烈風の戸に柊のさしてあり 石橋秀野
柊挿す若狭の水の通ふ井戸 沢木欣一
柊を挿し中辺路の茶屋守れる 大橋敦子
柊を挿して寒天小屋閉ざす 野崎ゆり香
柊をさして堅田のまくらがり 大峯あきら
よく掃いてあり柊を挿してあり 山本洋子
誰も来ぬ戸に柊を挿しにけり 岸本尚毅


【 立春りつしゆん 】 春立つ  春はる 来きた る 立春大吉 (季春)
二十四節気は一年を二十四に分けたもので、立春はその一つ。節分の翌日にあたり、新暦の二月四日ごろ。暦の上ではこの日から春になる。寒気のなかにもかすかな春の兆しが感じられる。(角川合本俳句歳時記第四版)
立春の雪白無垢の藁家かな 川端茅舎
立春の米こぼれをり葛西橋 石田波郷
立春の竹一幹の目覚めかな 野澤節子
立春のまだ垂れつけぬ白だんご 中山純子
立春や月の兎は耳立てゝ 星野椿
立春の駅天窓の日を降らし 寺島ただし
春立つや子規より手紙漱石へ 榎本好宏
立春大吉舟屋の前に赤き泛子(うき) 池上樵人

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