SSブログ

阪神タイガース [エッセー]

 
80247409_480x328.png


 クライマックスシリーズ1stステージ、我が阪神タイガースは読売に負けてしまいました。タイガースが負けるのを見るのは嫌ですが、クライマックスシリーズ での負けは私個人としてはそれほど悔しくありません。それよりも、ペナントレースで優勝出来なかったことの方がよっぽど悔しかったです。一位を目指して143試合戦う彼らを春から応援して来たのですから、それが叶わなかった悔しさは大きいです。
 ですから、ヤクルトスワローズには143試合戦って優勝した誇りを持って日本選手権シリーズに出場していただきたいです。そうして、正真正銘の日本一を目指してもらいたいと思います。
 万が一、このまま読売が勝ち進んで日本選手権シリーズで優勝してしまっても、規則とはいえ、それはとても価値の低い日本一だと思います。読売はペナントレースで勝率が5割に届かなかったのですから。
OIP.jfif


タイガース未だ野球の小春かな 粋田化石


『小春』は、初冬の穏やかで暖かい春に似た日和が続くころ。また、陰暦10月の異称です。この句の場合は後者として使っています。今季は途中にオリンピック休みがあったとはいえ、阪神タイガースの選手が旧暦の十月まで野球をしている姿を見ることができました。
選手の皆様お疲れ様でした。来季も元気な姿を見せて下さいませ。

OIP (1).jfif


【小春(こはる) 】 小春日(こはるび) 小春日和(こはるびより) 小六月(ころくぐわつ)  (季冬)
小春・小六月ともに旧暦十月の異称。小春日・小春日和は、立冬を過ぎてからの春のように暖かい晴れた日のこと。「小春風」「小春凪(こはるなぎ) 」「小春空」などとも用いられる。(角川合本俳句歳時記第四版)
暮れそめて馬いそがする小春かな 几董
海の音一日遠き小春かな 暁台
水底の砂も小春の日なたかな 梅室
巌によれば山のつめたき小春かな 原石鼎
俗名と戒名睦む小春かな 中村苑子
小春とは箕に乾きゆくものの音 吉本伊智朗
小春日や鳴門の松の深みどり 高浜年尾
小春日やりんりんと鳴る耳環欲し 黒田杏子
大淀や水の光も小六月 日野草城
白絹で碁石を磨く小六月 浅井陽子
半眼の大鹿坐る小六月 井上康明

画像はフリー素材です

nice!(9)  コメント(0) 

選挙 [エッセー]

選挙が終わりました。

選挙 (1).png


 我が方の選挙区では10期以上もお勤めしている方が余裕で当選しました。それほど長く議員をされているのに、その方が地域や国民のために骨を折っているという話は伝わってきません。また、その方は私の仕事にも関係している業種の協会長をされているのですが、そちらからも何も聞こえてきません。
 そういうわけで、私は新たな人に自分の地域の代表になっていただきたく思っていたのですが(特に支持政党はありまん)、長くお勤めしている方の当選という結果でした。多くの有権者の皆様は野党を信用していないのか、または世の中が変わることをおそれているのか。民主主義ですから仕方ないことなのですけどね。今はその方に期待するしかありません。
 選挙といえば、危なくなると証拠を改ざんする。都合が悪くなると世の中の規則を自分の都合の良いように変えてしまう。そういう2時間ドラマに登場するような眉唾物の政治家が普通に立候補して、有権者もまたそいつを当選させてしまいます。民主主義とはいえ、一体全体正義は何処へ行ってしまったのだろうかと思います。2時間ドラマなら因果応報で酷い目にあうか、窓際太郎(ドラマシリーズ、窓際太郎の事件簿の主人公)のような正義の味方に悪事を暴かれるのですけどね。
 世の中きれいごとだけでないことは承知していますが、もう少し潔くしていただきたいものです。

そぞろ寒過去を浄化の清き票 粋田化石

そぞろ寒というのは、それとなく感じる秋の寒さのことです。怪しい政治家。選挙で当選すれば禊(みそぎ)が済んだと考えている政治家。それに投票する有権者。寒さを覚えます。

【 秋寒 あきさむ 】 そぞろ寒(ざむ) やや寒(さむ) うそ寒(さむ)
秋のうちに感じる寒さ。「そぞろ寒」の「そぞろ」は「漫ろ」と同じで「それとなく」「わけもなく」の意。「やや寒」の「やや」は「いくらか」「ようやく」の意。うそ寒の「うそ」は「薄」の転訛(てんか)か。いずれも秋の半ばすぎから晩秋にかけて次第に募る寒さを思わせる。(角川合本俳句歳時記第四版)
秋寒むや行く先々は人の家 一茶
ややさむく人をうかがふ鼠かな乙州
秋寒し此頃あるゝ海の色 夏目漱石
秋寒の濤が追ひ打つ龍飛崎 上村占魚
そぞろ寒兄妹の床敷きならべ 安住敦
縄文の土器に焦げ跡そぞろ寒 長田群青
やゝ寒や日のあるうちに帰るべし 高浜虚子
やや寒の麒麟のかほに日はありぬ 山上樹実雄
うそ寒や耳うすければ運うすく 野村喜舟
うそ寒の身をおしつける机かな 渡辺水巴
うそ寒の起居の中の川の音 草間時彦
うそ寒の水銀玉となりたがる 和田悟朗

画像はフリー素材です


nice!(9)  コメント(0) 

寒露 [エッセー]

 日中仕事をしていると汗ばむこともありますが、朝晩は肌寒く感じるこの頃です。
 そうです、今は二十四節気の一つ寒露(かんろ)です。寒露というのは晩秋から初冬にかけての、霜になりそうな冷たい露のことです。また、二十四節気というのは、太陽太陰暦で、季節を正しく示すために用いた語で、一太陽年を太陽の横経によって二十四等分し、その分点に節気と中気を交互に配列し、それぞれに季節の名称を与えたものです。

寒露.jpg


 さて、若い頃からそうなのですが、何かに夢中になると時間を忘れて夜っぴて起きていたりします。現在はというと、Amazonのプライムビデオに『白バイ野郎ジョン&パンチ』があるのを知り夢中で見ています。『白バイ野郎ジョン&パンチ』は1977年からNBCで放映されたアメリカの人気ドラマシリーズです。
 さすがに仕事の前夜は自重しますが、休日の前夜はその懐かしさに寝ている暇はありません。

洗顔に震ふ寒露の徹夜明け 粋田化石


徹夜明け、眠気覚ましに顔を洗ったら寒さに身震いしたという句です。

【 寒露 かんろ 】 (季秋)
二十四節気の一つで、新暦十月八日ごろにあたる。露が寒さで凝って霜になるの意。(角川合本俳句歳時記第四版)
水底を水の流るる寒露かな 草間時彦
真上より鯉見ることも寒露かな 高野途上
目に見えぬ塵を掃きたる寒露かな 手塚美佐


画像はフリー素材です

nice!(10)  コメント(0) 

名月 [俳句]

2021.9.21名月.JPG


2021.9.21名月3.JPG


 九月二十一日は旧暦の八月十五日、一年中で一番美しいとされる名月の日です。しかも、国立天文台の情報によると今年は満月と中秋の名月が八年ぶりに重なりました。
 月は約15日周期で新月から満月に、そして満月から新月になります。したがって、新月から15日目に当たる夜(旧暦の十五日)が十五夜・満月と考えられていました。しかし、実際には月の満ち欠けは季節によって左右され、新月から満月になる日数は13.9日~15.6日(平均は14.76日)とかなり差があります。そのために十五夜の前後に満月になることも多く、十五夜が必ずしも満月になるとは限らないそうです。

2021.9.21名月2.JPG


名月に噯あやまるコカコーラ 粋田化石


 噯(おくび)は曖気(あいき)・げっぷのことです。名月ですので昇りたての黄色い月の写真を撮りたかったのですが、私はとある道の駅に車を止めてコーラを飲みながら黄色い月を眺めていました。その時にげっぷが二回。月に謝ったという訳です。

unnamed.jpg

画像はフリー素材です


名月や出くわす庭の洗い熊 粋田化石


 我が家の周辺には野生のアライグマが生息していて頻繁に出くわします。月を見に庭に出たらアライグマに出会ったという句です。空を見て月が二つ出ていれば狸だったのかもしれませんが、月は一つでしたので出くわしたのはアライグマです。


【 名月 めいげつ 】  明月(めいげつ) 望月(もちづき) 満月 今日の月 月今宵(つきこよひ) 三五の月 十五夜 芋名月  (季秋)
旧暦八月十五日の月である。一年中でこの月が最も澄んで美しいとされる。秋草や虫の音、夜露や秋風など、風物のたたずまいが一層月を明澄にする。穂芒(ほすすき) を挿し、月見団子や新芋などその年の初物を供えて月をまつるのは、収穫を祈る農耕儀礼の遺風である。↓良 (角川合本俳句歳時記第四版)
しみ々と立ちて見にけりけふの月 鬼貫
名月や池をめぐりて夜もすがら 芭蕉
名月や畳の上に松の影 其角
名月をとつてくれろと泣く子かな 一茶
名月や笛になるべき竹伐らん 正岡子規
名月や故郷遠き影法師 夏目漱石
名月や門の欅も武蔵ぶり 石田波郷
名月や洗ひ伏せたる日々のもの 村松紅花
満月や耳ふたつある菓子袋 辻田克巳
満月の闇分ちあふ椎と樫 永方裕子
けふの月長いすゝきを活けにけり 阿波野青畝
十五夜や母の薬の酒二合 富田木歩
十五夜の雲のあそびてかぎりなし 後藤夜半

nice!(7)  コメント(0) 

昭和の車 [俳句]

 BS朝日に『昭和の車といつまでも』という番組があります。同じ車に三十年以上乗り続ける持ち主を訪ねて、その人と所有する車を紹介します。私はその番組が好きでよく見ているのですが、ある日いつものようにその番組を見ているときに傍にいた息子が「この人優しそうな顔をしている。」と言いました。
 なるほど、息子に言われてそうゆう視点で見てみると、確かに同じ車に三十年以上乗り続けるドライバーたちは皆さま優しく素敵な顔をされています。私は車だけ見て人は見ていなかったのですね。そうして更に気づいたのですが、その古い車を整備・修理してくれる整備士たちも素敵な表情をしていました。古いものを大切にされる方のお顔はどこか違うのですね。

昭和の車 (1).jpg


三十年を一つハンドル巡る秋 粋田化石


 三十年(みそとせ)の間同じハンドルを握ってまた秋が巡ってきた、という句です。ハンドルなので巡るにしてみました。

昭和の車 (4).jpg


三角窓佛顔にも素風かな 粋田化石


 まだ自動車にダクトや強制送風ファンがなかった時代、自動車についている小さな三角窓を開閉して室内の換気を行っていました。
 素風というのは色の無い風、つまり秋の風のことです。秋らしい晴れた日、古い車の三角窓の奥の優しい顔にも秋の風が吹いているという句です
写真がないと自動車の三角窓だとわからない句でした。


【秋風 あきかぜ】  秋風(しうふう)  秋の風  金風(きんぷう)  素風 色なき風  爽籟(さうらい)  (季秋)
秋の訪れを告げる「秋の初風」から、晩秋の蕭条(しようじよう)とした風まで、秋の風にはしみじみとした趣がある。秋風は古来西風とされてきたが、実際には特に定まった方角はない。金風・素風は、陰陽五行(ごぎよう) 説で、秋は五行の金にあたり、色は白を配するところからきた語。色なき風は華やかな色が無い風の意で、漢語である「素風」を歌語にしたもの。(角川合本俳句歳時記第四版)
秋風の吹きわたりけり人の顔 鬼貫
あかあかと日は難面(つれなく)も秋の風 芭蕉
石山のいしより白しあきの風 芭蕉
物言へば唇寒し秋の風 芭蕉
秋風やしらきの弓に弦はらん 去来
十(とを)団子(だご)も小粒になりぬ秋の風 許六
釣鐘に椎の礫や秋の風 几董
淋しさに飯をくふなり秋の風 一茶
あきかぜのふきぬけゆくや人の中 久保田万太郎
死骸(なきがら)や秋風かよふ鼻の穴 飯田蛇笏
秋風や模様のちがふ皿二つ 原石鼎
ひとり膝を抱けば秋風また秋風 山口誓子
秋風や殺すにたらぬ人ひとり 西島麦南
吹きおこる秋風鶴をあゆましむ 石田波郷
秋風や柱拭くとき柱見て 岡本眸
秋風を二三歩追へり見送れり 神蔵器
どこからも川現はるる秋の風 廣瀬直人
髑髏みな舌うしなへり秋の風 高橋睦郎
もういちど吹いてたしかに秋の風 仁平勝
檻の鵜も鵜籠も秋の風の中 島谷征良
肘あげて能面つけぬ秋の風 小川軽舟
籠らばや色なき風の音聞きて 相生垣瓜人
山荘のけさ爽籟に窓ひらく 山口草堂

画像はフリー素材です

nice!(7)  コメント(0) 

Le magnifique [日記]

 
le_casse_0001.jpg


 昼間携帯電話を開いたらフランスの俳優ジャン-ポール ベルモンドが亡くなったというニュースが目に飛び込んできました。
le_casse_011.jpg

 少年の頃『華麗なる大泥棒』というベルモンドが主演する映画を見て彼のファンになり、以来50年間ずっと彼を追いかけてきました。ベルモンドもすでに88歳でしたので覚悟していましたが、とうとうこの日が来てしまいました。

peur_sur_la_ville_9.jpg

 
本日の題名『Le magnifique』はベルモンドの訃報に寄せたフランスのマクロン大統領の言葉です。実はこの言葉は、ベルモンドが主演した映画『おかしなおかしな大冒険』の仏名で、直訳では“壮大な”という意味になりますが、“偉大な人”という意味で使っています。そうです、ベルモンドは私にとっても偉大な俳優でした。

le_casse_037.jpg


秋蟬も「つくづく惜しい」ベルモンド 粋田化石


秋蟬(しゅうせん)というのは秋になっても鳴いている蟬のことです。千葉県東部地方は久しぶりに晴れて気温も上がり秋らしい一日でした。ベルモンドの残念な報を知った時に蟬のツクツクボウシが鳴いていました。

peur_sur_la_ville_010.jpg


たましいを引留むやうに秋の蟬 粋田化石


秋の蟬、残る蟬というと、今までは先に逝ってしまった仲間のために鎮魂歌を歌っているという心象でしたが、今日は仲間の魂を引留めて鳴いているように聞こえました。

peur_sur_la_ville_7.jpg


【 秋の蟬 あきのせみ 】  秋蟬(しうせん) 残る蟬  (季秋)
蜩や法師蟬のように秋になって鳴き始める蟬もいるが、夏から引き続き鳴く蟬もまだ多い。↓蟬(夏) (角川合本俳句歳時記第四版)
秋の蟬たかきに鳴きて愁ひあり 柴田白葉女
川越えてしまへば別れ秋の蟬 五所平之助
遠き樹に眩しさ残る秋の蟬 林翔
師を恋へば城山に湧く秋の蟬 山田みづえ
喪の幕の端に風ある秋の蟬 岡本眸
磧湯(かはらゆ)の思はぬ熱さ秋の蟬 鳥越すみこ
秋蟬のこゑ澄み透り幾山河 加藤楸邨
秋蟬や島に古りたる神楽面 荒川優子

nice!(7)  コメント(0) 

圓生忌 [俳句]

ブログの更新を再開しました。

圓生忌 (4).jpg


「新米が馬鹿うまでげす」圓生忌 粋田化石

 以前にもこの記事で書いたことがありますが、落語家の六代目三遊亭圓生師匠は1900年(明治33年)の9月3日に生まれて、1979年(昭和54年)の9月3日に亡くなられました。落語中興の祖と言われ、現在止め名(野球でいう永久欠番)になっている三遊亭圓朝が亡くなったのが1900年の8月11日ですので、まるで圓朝の生まれ変わりのようです。
さて、私が落語好きになるきっかけにもなった師匠ですが、私は圓生師匠の噺(はなし)を生で聞くことはかないませんでした。

圓生忌 (3).jpg


 生前TVで拝見する師匠は「ばか旨(うま)」、「○○でげす」という古い言葉を使っておられました。そんな圓生師匠の言葉を真似て新米を詠んだのが最初の句です。
実は、六代目圓生師匠の落語の音源として全36巻のカセットテープの全集を持っていたのですが、カセットテープの再生が出来なくて長らく眠っていました。ところが最近息子からラジカセをもらい聞くことが出来るようになりました。嬉しいかぎりです。
DSC_7859.JPG


圓生忌 (7).jpg圓生忌 (1).jpg


夜食かな圓生わきで茶を啜る 粋田化石


圓生師匠は座布団の横にお茶を置いて高座でよくお茶を飲んでおられました。お茶を置く置かないは個人の自由だそうです。映像で見ても録音で聞いてもかなりの頻度でお茶を飲んでいます。夜なべの時、夜食をとりながら圓生師匠の落語を聞いていたら、師匠の茶を啜る音が聞こえたという句です。夜食は秋の季語です。ちなみに、現在では十代目の柳家小三治師匠がよくお茶を飲まれています。

圓生忌 (2).jpg


【 夜食 やしよく】(季秋)
夜なべをすると空腹を覚えるので軽い食事を取ったりする。現在は残業している会社員や夜遅くまで勉強している受験生などがとる軽食をも指す。(角川合本俳句歳時記第四版)
所望して小さきむすび夜食とる 星野立子
夜食とる後姿の足重ね 福田蓼汀
あたたかき夜食の後の部屋覗く 能村登四郎
夜食には夜食の贅のありにけり 高浜朋子

nice!(4)  コメント(0) 

啓蟄 けいちつ [俳句]

今年は三月五日が啓蟄でした。啓蟄は二十四節気の一つで、冬ごもりをしていた虫が地中から這い出てくるころを言います。

今回は『啓蟄』の句です。

啓蟄 (2).png


啓蟄や外はマイクロシーベルト 粋田化石


シーベルト(Sv)は被曝による人体への影響の度合いを表す単位です。
虫たちが冬ごもりをしている地中の外には放射能という句です。今年は東日本大震災大震災から十年目にあたりますので、こんな句を詠んでみました。


啓蟄 (1).png


啓蟄や這い出る穴も無き夕べ 粋田化石


虫には啓蟄でも、私には這い出す穴も無いという句です。


啓蟄 (1).jpg


命の火啓蟄に消ゆ松の菰(こも)粋田化石


松の木の腹巻き(菰巻き・藪巻)を燃やしている映像を見ました。あの中にはもしかしたら松食虫の幼虫がいて、蠢きだす前に灰になっているかもしれません。
ちなみに、菰巻きは冬の季語です。


【 啓蟄けいちつ 】  (季春)
二十四節気の一つで、新暦三月五日ごろにあたる。暖かくなってきて、冬眠していた蟻・地虫・蛇・蛙などが穴を出るころとされる。↓蛇穴を出づ ・ 地虫穴を出づ (角川合本俳句歳時記第四版)
啓蟄のつちくれ躍り掃かれけり 吉岡禅寺洞
啓蟄の雲にしたがふ一日かな 加藤楸邨
啓蟄の鳥語すずろに美しく 後藤夜半
啓蟄の蚯蚓の紅のすきとほる 山口青邨
啓蟄の蛇に丁々斧こだま 中村汀女
水あふれゐて啓蟄の最上川 森澄雄\
蟄や墓原雨を吸ひて飽かず松崎鉄之介
啓蟄の土著けて蟻闘へり 鷹羽狩行

nice!(8)  コメント(0) 

二月は逃げる [俳句]

「一月は行く、二月は逃げる」などと言いますが、あっという間に二月が終わってしまいます。俳句には『二月尽 にぐわつじん』という季語があって、丁度今頃の時候を表現しています。
今日は「二月尽」の俳句です。

tree_ryuuboku.png
二月尽婀娜(あだ)な流木横たはる 粋田化石


流木というと冬の心象がありますが、「婀娜」つまり艶めかしく色っぽい形の流木だと少し暖かく感じませんか?


cup_noodle.png

二月尽三分長きカップ麺 粋田化石


最早冬ではないけれど春というには早いこの時期。あっという間に二月が終わり三月が来ます。そんな時期とセッカチに流れる時間の中で、相変わらずにカップ麺の三分が待てない私です。


illust4817.png

舌垂らし斜に犬行く二月尽 粋田化石


二月も終わりになると暖かい日もあり、そんな日は犬も舌を垂らしています。飼い主の行く方向と飼い犬の視線が一致していないないのでしょう。犬は斜(はす)に歩いています。



【 二月尽 にぐわつじん 】 二月果つ 二月尽く (季春)
新暦二月の終わり。短い月が慌ただしく過ぎゆく感慨と同時に、寒さがゆるみ、春本番に向かうほっとした気分もただよう。(角川合本俳句歳時記第四版)
木々の瘤空にきらめく二月尽 原裕
真直なる幹に雨沁む二月尽 福永耕二
二三日葬りに使ひ二月尽 伊藤敬子
光りつつ鳥影よぎる二月尽 小沢明美

nice!(6)  コメント(0) 

冬から春へ [俳句]

setubun-i4.gif

今日は立春
ブログの更新を休んでいる間に季節は春に変わってしまいました。
俳句はぼつぼつ作ってはいたのですが、なかなか記事にできませんでした。

今日の俳句はは冬の季語『柊挿す』と春の季語『立春』で詠みました。

DSC_7441.JPG


柊を挿(さ)して軋む戸両の手で 粋田化石


『柊挿(さ)す』が冬の季語です。節分に、焼いた鰯の頭と柊の枝を挿す風習のことですね。
柊を挿した後軋む重い扉を両手で閉めたという句です。

DSC_7445.JPG


柊挿す残りは酒のあてにせぬ 粋田化石


鰯は頭しか使わないので、残った体の部分は酒の肴にしました。

0201000308.png


柊挿す貧乏神を置いたまま 粋田化石


柊を挿すというのは、結界を張って邪気が入り込まないようにすることです。家に貧乏神を置いたまま結界を張ってしまったので、貧乏神が出られなくなってしまった、という句です。

992.png


子午線に柊挿して祈りたし 粋田化石


子午線、つまり北極と南極を結んだ線の上に柊を挿して地球の邪気を払いたいという句です。



立春が洗車に映ゆるボンネット 粋田化石


朝、ガソリンを入れるついでに洗車機で車を洗いました。そうしたら、ピカピカのボンネットに立春の青空が映ってとても素敵な光景でした。

DSC_7453.JPGDSC_7451.JPG


早起きに立春の月徳とせぬ 粋田化石


早起きして空を見上げたら沈み行く月が見えました。
「徳とする」というのは、有り難いものと考えることです。今日は何か得をしたような気分です。



【 柊挿す ひひらぎさす 】 (季冬)
節分に、焼いた鰯の頭を刺した柊の枝を戸口に挿す風習は全国的に行われている。鬼や邪気が家に紛れ込むのを防ぐ 呪まじな い。これを「 焼嗅やきかが し」といって、鰯の他に葱・ 辣韮らつきよう ・ 大蒜にんにく などの臭いものを挿したり、髪の毛を焼いたりする地方もある。(角川合本俳句歳時記第四版)
烈風の戸に柊のさしてあり 石橋秀野
柊挿す若狭の水の通ふ井戸 沢木欣一
柊を挿し中辺路の茶屋守れる 大橋敦子
柊を挿して寒天小屋閉ざす 野崎ゆり香
柊をさして堅田のまくらがり 大峯あきら
よく掃いてあり柊を挿してあり 山本洋子
誰も来ぬ戸に柊を挿しにけり 岸本尚毅


【 立春りつしゆん 】 春立つ  春はる 来きた る 立春大吉 (季春)
二十四節気は一年を二十四に分けたもので、立春はその一つ。節分の翌日にあたり、新暦の二月四日ごろ。暦の上ではこの日から春になる。寒気のなかにもかすかな春の兆しが感じられる。(角川合本俳句歳時記第四版)
立春の雪白無垢の藁家かな 川端茅舎
立春の米こぼれをり葛西橋 石田波郷
立春の竹一幹の目覚めかな 野澤節子
立春のまだ垂れつけぬ白だんご 中山純子
立春や月の兎は耳立てゝ 星野椿
立春の駅天窓の日を降らし 寺島ただし
春立つや子規より手紙漱石へ 榎本好宏
立春大吉舟屋の前に赤き泛子(うき) 池上樵人

nice!(7)  コメント(0) 

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。